(「【西原宏一が教える FXトレード戦略超入門】 「トレード戦略」の道具としての「チャート」を学ぼう!」から続く)
なぜか、いつも高値・安値をつかむ人に
 トレンドをつかんでいたとしても、相場が過熱したときに入ると、おもしろいようにやられてしまいます。
 移動平均線はトレンドをわかりやすく教えてくれますが、移動平均線だけを見ていると高値や安値をつかみがちです。
 こうした高値買い・安値売りを避けるために便利なのが、オシレーター系のテクニカル分析です。オシレーターは相場の過熱感を過去の局面と比較し、数値で示してくれるツールで、一般的には逆バリ向きの指標だとされています。
 しかし、それを逆転させて使うのです。
 「自分が買うと相場が下がり、売ると相場が上がる……」といった感覚を持っている人は、ぜひ、オシレーター系のテクニカル分析をチャートに加えてみてください。
 その種類は「RCI」「RSI」「ストキャスティクス」などさまざま。
 以降で、RCIとウィリアムズ%Rを紹介しますが、よほど特殊なものでない限り、「これが正解」ということはありません。僕自身は、RCIとチャート分析の第一人者、トム・デマークによるTD-REIをメインで使っています。その活用方法に大きな違いはありませんので、自分のフィーリングにあったものを見つけてください。
「52」「26」は天底にあり、「9」のRCIが動いたら
 ビジュアル的にわかりやすいので、僕がよくオススメしているオシレーター分析が、R C I(Rank Correlation Index)です。
 RCIは、その位置と方向で相場の流れと強弱を教えてくれるテクニカル分析で、プラス100%に向かっていくと上昇トレンドで、 80%を超えると天井圏。

 マイナス100%に近づき下がっていくと下降トレンドで、マイナス80%を下回ると底値圏と判断するのが基本的な見方です。
 では、僕自身はどう使っているかというと、長期「52」、中期「26」、短期「9」の、パラメータの異なる3本のRCIを同時に表示し、押し目や戻りのヒントとしています。
 長期RCIは動きが緩やかで、天底に張りつきやすく、短期RCIは敏感で大きな動きをします。長期に加え中期も天井や底付近に張りついていたら「かなり確かなトレンドだ」と見ることできます。
 そこに短期も天井や底に揃ったら、これは「売られすぎ」「買われすぎ」のサインとなります。
 もちろん、まだここではエントリーはしません。短期「9」のラインが動き出すのを待つのです。
 中期・長期のラインは変わらず天井圏にあり上昇トレンドを示している。そこで短期がいったん底に向かって、再び上がってきたときが上昇トレンド中の押し目。買いのタイミングとなります。
 逆も同様で、中期・長期のラインは変わらず底値圏にあり下降トレンドを示していて、短期が上に向かって、再び下がってきたときが下降トレンド中の戻り高値。売りのチャンスとなるわけです。
 また、すでにポジションを持っているときなどは、3本のRCIが天井や底に揃ったのを確認し、手仕舞いすることもあります。
 相場が過熱したとき、逆への動きがいっきに進むケースがあるからです。オシレーター系のテクニカルはこうした使い方もできるのです。
順張りエントリーのポイントを%Rで決定
 オシレーター系テクニカル分析の中でも、シンプルに使えるのが「ウィリアムズ%R」。当代きってのトレーダーとして名を馳せるラリー・ウィリアムズが開発したオシレーター系指標です。
 その見方や使い方の基本は、他のオシレーターと同じです。
 %Rはゼロからマイナス100までの間を推移します。%Rが上端のゼロに近づいたら買われすぎなので売り。下端のマイナス100に近づいたら売られすぎで買いを示唆するシグナルとなります。
 強いトレンドが続いたときには、上端や下端に張りつきやすい傾向があるのも、その他のオシレーターと同様です。
 ただ、%Rは値動きへの反応が敏感かつ頻繁に方向を変えるという特徴があります。そのため%R単体で使っていると振り回されがちです。
 %Rを活用するのは、その日の見通しとして「押し目買いでいこう」「今日は戻り売りだ」と決まっているとき。
 押し目買い方針なら、%Rが「マイナス95」を下回ったときには売られすぎなので買い。戻り売りなら、「マイナス5」を上回ったときが買われすぎなので売りの目安となります。
 %Rはたった1本のラインだけで押し目、戻りを判断できます。シンプルに使えるため、スマホなどの小さなチャートでも素早く感覚的に判断しやすく、初心者でも扱いやすいのではないでしょうか。
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通貨先物市場の動きで人気の通貨をチェック
 チャートのテクニカル分析とは少し違いますが、「IMM(International Monetary Market)」も、トレンドの過熱感や初動、転換を知るヒントとなります。
 IMMとは、アメリカのシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引される通貨先物市場のことで、IMM市場の参加者がどんなポジションを持っているか、週1回発表されています。
 IMMを見れば、「円がどのくらい買われているか」「ユーロの売りは前週からどのくらい増えたのか」を、数字で知ることができるのです。
 少々、ややこしいのが、IMMのポジションは「円ロング○枚」「ユーロショート○枚」といったように通貨単体で示されていて、すべて「対米ドル」での取引だということ。
 FXだと「米ドル/円のロング」は、「円売り」取引ですが、IMMの場合、「円ロング」とあれば、「円買い」取引となるので、気をつけてください。
 IMMの市場規模は、為替市場全体から見ると、決して大きいものではありません。しかし、取引が相対で行われる為替市場には、全体の取引動向を示す指標がありません。そのため、IMMが市場全体の動向を示す指標として利用されていて、注目を集めているのです。
たまったポジションの巻き返しに注意!
 具体的に、IMMの情報をトレードにどう取り入れるのか? 気をつけるべきは、「過去最高」「◯年ぶりの水準」というフレーズです。
 米ドル/円のトレードでIMMが役に立った例を紹介しましょう。
 2016年4月、IMMでの円ロングは7万1870枚でした。過去最大の枚数です。
 IMMの円ロングはつまり、米ドル/円の売りポジション(米ドル売り/円買い)。このときの米ドル/円は1月末121円から107円まで下落していました。
 ただし、「過去最大規模まで、円が買われた」ということは、買いたい人はほとんど買ってしまったでしょうから、この先、新しい円の買い手は登場しにくい。
 それどころか、すでに円を買った人は「いつ利益を確定しようか」と手ぐすね引いているかもしれません。
 IMMで、円の買い手が利益を確定するということは、円を売る取引になります。
 つまり、「IMMの過去最大の円ロング」は、米ドル/円の下降トレンドがいったん反転する可能性に気をつけないといけない!というシグナルになるのです。
 実際に過去最大に膨れ上がった円ロングの巻き戻しが始まると、107円から111円まで4円幅の反発が起こりました。
 「円売りトレンドが起きているな」と思ったら、IMMを確認してみましょう。
 そこで過去の数字と比べてみて円ショートが膨れ上がっているようなら、トレンドがいったん反転する可能性があります。
 このとき、「円を売るのはIMMの円ショートが減ってからにしよう」と考えることができるわけです。
 反対に、米ドル/円にトレンドが出ていながら、IMMのポジションが過去の水準と比べ、目立って多いわけでないようであれば、トレンドはまだ序盤。早くにトレンドに気づくことができたということかもしれません。
ファンダメンタルズの変化には対応できない
 とても参考になるIMMですが、欠点もあります。まずひとつは、実際の市場の動きに対してタイムラグが大きいことです。IMMポジションが集計されるのは火曜日で、発表されるのは金曜日。日本時間では、土曜日の朝です。
 水曜日から金曜日の間に相場が変動し、大きくポジションが変わっていても反映されません。火曜日時点のポジションを土曜日に知るわけですから、3日前のポジションを見ていることになります。 もうひとつは、ファンダメンタルズなどに大きな変動があったときには、過熱感が続いたまま推移することがあるということです。
 Brexit後の英ポンドは、ショート(英ポンド売り)が過去最高に積み上がりました。通常ならば、英ポンド売りの巻き戻しで大きな反発がありそうなものですが、IMMは過去最高を更新し続けるとともに、英ポンドの下落も続きました。
 オシレーター系テクニカルの欠点と似ていますが、ファンダメンタルズに大きな変化があったときには、IMMは当てにならない場合があります。
 IMMの発表は週1回、週末です。日々確認する必要はありませんが、時間に余裕のある週末に「今のIMMはどうなっているだろう」と見ていくといいでしょう。
(ザイ投資戦略メルマガ事業部)
(つづく)
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