(「【西原宏一が教える FXトレード戦略超入門】リスク管理できないトレードはするな!」から続く)

為替市場の値動きに大きな影響を与える存在
 ストップの位置の参考となり、効率的なトレードができるのがオプションの存在です。
 オプションと聞くと、「バイナリーオプション」を思い浮かべる人も少なくないかもしれません。バイナリーオプションはFXと同じく為替市場に由来する商品で、取引をしたことがある方もいるかもしれません。しかし、ここでいうオプションは、バイナリーオプションとは別物です。
 オプション(取引)とは、原資産となるある商品を「決められた期日」までに、「決められた価格」で売買する「権利」の取引です。
 対象となる商品は幅広く、為替や株式など金融資産から農作物や石油などの商品なども対象となります。通貨を対象としたのが「通貨オプション」で、銀行やヘッジファンドなどの機関投資家が、為替と同時にこのオプション取引をすることがよくあるのです。
 オプションの存在は為替市場の値動きに大きな影響を与えることがあります。
 オプションが設定されていると値動きの強固な壁になりやすく、そこを抜けると値が大きく動いたりします。
 設定された金額が大きいほど、その影響は大きく、とくに、米ドル/円、ユーロ/米ドルのトレードには、見すごせないものになっています。
「バニラ」があるともみ合いがちに
 オプションにはさまざまなタイプがあるのですが、2種類を覚えてください。「バニラ・オプション」と「バリア・オプション」です。
 バニラ・オプションは、「◯月◯日までに1ドル◯◯◯円で買う(売る)権利」といったように、期日と権利を行使する価格(権利行使価格)が決まっているタイプです。
 では、「6月30日までに1ドル100円で買う権利」というバニラ・オプションがあり、そのときのレートが100円50銭だったとすると、どうなるでしょうか。実際に配信したメルマガがあります。
 「ドル円は今週いっぱい100・00円に27億ドルのオプションが控えている模様でそのレベルが底堅いイメージ」(2016年6月27日配信)
 このとき、週末が期限で権利行使価格が100円のバニラ・オプションが設定されていました。しかも、27億ドルという巨額のため、100円を大きく割ることはないだろう、と予測したわけです。
 2円、3円と遠く離れた位置にあるオプションはさほど影響力を持ちません。
 しかし、多額のオプションが近くにある場合、磁石に引き寄せられるように権利行使価格付近でもみ合うことがよくあるのです。
 そのため、大きなバニラ・オプションが近辺にあるときは、「期限が来るまで、もみ合いが続くかな」というように考えることができます。
 ちなみに、このバニラ・オプションが、オプション取引の基本。いちばんオーソドックスなアイスクリームの味といえばバニラですから、オーソドックスなオプションということでバニラ・オプションと呼ばれています。
「バリア」の向こう側にストップを
 一方、ストップの参考となるのが、「バリア・オプション」の存在です。
 バリア・オプションは、簡単に言えば「6月30日までに1ドル100円を割らなければ勝ち」といったようなオプションです。
 バニラと違い、一回でもそのレートにタッチしてしまえば勝負が決まるのがバリア・オプションです。そのため、多額のバリア・オプションが設定されたレートの手前では、「つけさせまい」「いや、つけてやる」と熾烈な攻防戦が起きやすくなります。
 100円ちょうどを底に反転上昇してきたとき、こんなメルマガを配信していました。
 「105円のバリアの影響でなかなか105円が超えられず、104・40円で推移」(2016年10月27日配信)
 105円にバリア・オプションが観測されていたため、なかなか上昇しにくいだろうという分析です。 このとき、100円から104円までは数日ですんなり上がってきたのですが、105円を抜けるまでは20日以上かかりました。
 ただ、いったん、権利行使価格をつけてしまうと走りやすいのもバリア・オプションの特徴です。大きなバリア・オプションがあるのなら、その向こう側にストップを設定します。あるいは、間近まできて権利行使価格にタッチしそうなら、そこを利益確定のターゲットにするという考え方もできます。
 オプション情報については、FX会社が配信するニュースに掲載されていますし、注目すべきオプションについては僕もメルマガで紹介しています。オプション取引の仕組み自体は難しく、わかりにくいものですが、その存在は意識したいものです。
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リスクを減らして利益を伸ばす
 ストップは「置いて終わり」ではありません。値動きにあわせて、ストップの位置を動かしていくことで、トレードを有利に進め、利益を積み増すことができます。
 例えば、110円で買って、112円まで上がってきたとします。ストップは買値の1円下、109円。この段階では、2円幅の利益がのっています。
 しかし、為替市場では何が起きるか、わかりません。寝ている間に円高が一気に進んで、109円のストップがついてしまうこともありえます。そうなると、このトレードは2円幅の含み益が消え去るばかりか、1円幅の損失です。
 一方、110円で買って、112円まで上がってきたとき、ストップを買値の110円に上げておけば、相場が急落しても損失はゼロ。心安くトレードを進められます。
 含み益をしっかり確保してリスクを限定させるために、ストップを再検討し、動かすことをトレードの習慣にしていきましょう。
 「大台を越えるたびに切り上げる」「大台を割るたびに切り下げる」というのもひとつの考え方ですが、動かす適切な位置はその時々で異なり、テクニカル分析を見ながら、慎重に考えていきます。
 一目均衡表の雲や基準線、転換線に沿ってトレンドが推移しているようなら、一目均衡表の位置が変わるたびにストップの位置を変更する。
 75に設定した日足の移動平均線を上抜けて上昇トレンドが本格化したのであれば、75日線から下に少し離してストップを置き、トレンドの進捗とともにストップを移動させていく。
 「今回のトレンドはこのテクニカルをブレイクして始まったな」というような、そのトレンドで効いているものを目安にしていきましょう。
相場が乱高下しそうなイベント前は例外も
 ストップを移動させるのは、現在のレートに近づける場合のみ。よほどのことがない限り、不利な方向、つまり、損失が大きくなる方向へは動かしません。
 買いのトレードなら最初のストップの位置を下に動かすことはない、ということです。売りのトレードなら上に動かしたりしません。
 トレードを始める前にリスクとリターンを検討してエントリーしているわけですから、損失を拡大させる方向にストップを動かしては、戦略の前提が崩れてしまいます。
 ただし、例外もあります。週末や大きなイベントを控えているときです。
 為替相場に影響を及ぼすような大きなイベントの前後や月曜日の早朝。あるいは、中央銀行の政策金利や米雇用統計など注目度の高い経済指標が発表された直後。こうしたときは、相場が乱高下するばかりでなく、スプレッドも大きく開きがちです。
 予測できない動きでストップがついてしまうかもしれません。ストップがついた直後、思った方向へと戻っていくということもありますから、イベントの直前にはストップを少し遠くに動かしておくことがあります。
 ポジションを持った後は「どこで利食おうか」と指値ばかりに目が向きがちです。しかし、大切なのは指値よりも逆指値、すなわちストップの管理です。ストップを丁寧に管理することは利益の最大化をもたらしてくれるのです
ひとつのトレンドから大きく取る「回転」 
 うまくトレンドに乗れたとき、僕はストップを動かすだけでなく、同時に細かく利益確定と買い増しを繰り返しています。
 その様子を示したのが次の図です。最初に買ったポジションの一部をトレンド中の高値で利益確定。押し目では買い増して、再び高値を更新してきたら利益確定、次の押し目で買い増して……と、繰り返していくのです。
 これを僕は「回転させる」といったりしています。
 もちろん、その間、ストップは切り上げていきます。
 日足や週足といった長いチャートのトレンドにうまく乗れたときは、チャートの時間軸を4時間足や1時間足に落として天井、底を見極めていくことで、ひとつのトレンドからより大きな利益を狙うことができるわけです。
 よくセミナーなどで聞かれるのは、こうした復数のポジションを回転させるとき、最初に買った安値のポジションと追加で買った高値のポジションのどちらを残すか、ということです。
 どれから決済していっても最終的な損益は変わりません。ただ、最初に買った根っこのポジションを残しておくことで精神的に楽になります。僕はこの根っこのポジションを「コアポジション」と呼んでいます。個人的には、コアポジションはすべて利益確定してしまわず、残しておくのがいいかなと思っています。
(ザイ投資戦略メルマガ事業部)
(つづく)
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